このページでは『画竜点睛を欠く』という言葉(故事成語)の意味や例文、由来や類義語・対義語などをご紹介していきます。
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画竜点睛を欠くの意味
最後の大事な仕上げをやっていない・やり忘れている
ほとんど完成しているが、最後の肝心な仕上げをやっていない・できていない
『最後の仕上げ』というのが重要なポイントです。
物事のラスト、その行為が生きてくるか否かの『最後のシメ』ができていない事を意味する故事成語です。
<例文①>
画竜点睛を欠くなよあんにゃろう。。。
<例文②>
1位で走る僕は、これまでのキツイ練習が走馬灯のように蘇り思わず両手を上げガッツポーズ!
(無駄な動きでペースが落ちた)笑顔の僕の横を、ラストスパートで必死の形相をしたライバルが駆け抜けた!
…画竜点睛を欠く怖さを知った僕だった(結果は2位)
※マラソンの例文は、実際に私の同級生に起きた悲劇でした😄
画竜点睛を欠くで注意すべき3つの点
画竜点睛を欠くという言葉において、注意すべき3つの点があります。
注意①~画竜の読み方
『画竜点睛を欠く』は『がりょうてんせいをかく』と読みます。
竜という漢字の読みに注意です。
一般的には、ドラゴンを意味する『りゅう』と読む事が多い漢字なのですが、この故事成語の場合は『りょう』なので注意が必要です。
注意②~睛の書き方
晴と睛に注意が必要です。
文字が似ているというだけでなく、晴天(せいてん)といった読み方が同じなだけにややこしいのでお間違いなく。
注意③~欠くの書き方
このページ後半で紹介する画竜点睛を欠くの由来を知ると、画家が竜の絵を描いたというエピソードから『書く』と勘違いしてしまう場合もあるようです。
書く⇒欠く
文字や絵を『書く』という表現ではなく、何かが欠落している『欠く』が正解です。
画竜点睛を欠くはネガティブ故事成語?日常でどんな時に使われる?
主に物事の最後、仕上げの段階で何かをやり忘れるといったミスなどに対して使われています。
ネガティブな意味合いとして使用される故事成語です。
<日常的例文>
- 炊飯器のスイッチを入れ忘れていた(朝から丁寧に仕立てておいた炊き込みご飯が…)
- いい顔して受けた面接の最後に、お偉いさんの名刺を雑に扱ってしまった
- 5泊6日の旅行当日、飛行機の時間に間に合うよう余裕を持って家を出たのにカギをかけ忘れた
最後の例文~準備万端で楽しみウキウキで空港に向かってる途中で家のカギを閉めたかどうか不安になり…帰ってみたら案の定閉まっておらず。
旅行に向け、自宅を出る最後の仕上げ~家の鍵を閉める~のを忘れるという画竜点睛を欠くミスによって飛行機には間に合わなかったそうです。
こちらも、私の友人による画竜点睛を欠いた体験談です。
とてもネガティブになったそうです😃
竜の画を描くに当たって、最後の重要な仕上げである『瞳』を付け足すといった行為と同じように、物事のラストをしっかりとやり遂げるという前向きな意味合いで使用される四字熟語なのです。
物事を立派に完成させるための最後の仕上げ。
また、わずかなことで、全体がひきたつたとえ。
引用元: 広辞苑 第四版
そうした言葉に『欠く』という文字が付随することによって、ネガティブな故事成語となります。
画竜点睛を欠く~意味の細分化
画竜点睛を欠くを細かく区切って意味を見てみましょう。
※参考・広辞苑 第4版など
画に描いた竜。
瞳を描き加える事。(睛は瞳という意味を持つ)また、最後に付け加える最も重要な点のたとえ。
一部分をこわす。損じる。あるべき物を持たない。洩らす。ぬかす。おろそかにする。
それぞれをつなぎ合わせると『画に描いた竜の、瞳を描き加えるという最も重要な点を、おろそかにする』となります。
画竜点睛を欠くの由来・歴史
梁の画家、張 僧繇(ちょう そうよう)が金陵安楽寺の壁画に白竜を描いて、その睛(ひとみ)を書き込んだところ、たちまち風雲生じて白竜は天に上ったという故事。
引用元: 広辞苑 第四版
画竜点睛を欠くの歴史は、中国・南朝の梁(りょう)という時代まで遡ります(502~557年)
画家の名人である『張 僧繇(ちょう そうよう)』という人物が、当時皇帝だった武帝から『竜の絵を金陵・安楽寺の壁に描いてくれと頼まれ、それに応じました。
しかし、ほとんど完成された竜の絵には『瞳』が描かれておらず白目のまま。
そういって最後の仕上げである『瞳』を描くのを拒んでいた張でしたが、人々の懇願により竜に点睛を描き加えたところ…竜は飛び立っていきました。
画竜点睛を欠くの類語
少し意味は違えど、類語~似ている故事成語などをご紹介します。
仏作って魂入れず
清く尊い仏像を作りはしたものの、その仏像に大切な気持ち・魂を込めず、ただ作るだけといった行為を表現した”ことわざ”。
モノ自体が優れていても大事な部分が抜けてしまっていては、その努力や労力は無駄になるという意味合いを持ちます。
<例文①>
モノ自体は優れてて美味しいけど。。
弁当作って、魂まったく入れず(同じ味って…)
<例文②>
今日は記念すべき僕の誕生日。初めて迎える2人きりの誕生日に彼女がくれた手作り?縦長のギフト箱。
照れる彼女に気を使い、翌日1人で開封してみると…AMAZONギフト券1万円分。
いや合理的で優れたプレゼントだけど…(気持ちが。。)
手作り?ギフト箱くれて、魂わからず。
油断大敵
油断は物事の失敗の原因となるから大きな敵である
引用元: 広辞苑 第四版
『ドーハの悲劇』が油断大敵の例になるかと思いましたが、違う気がしたので割愛します🙂
九仞の功を一簣に虧く
事が今にも成就しようとして最後のわずかな油断のために失敗するたとえです。
九仞(きゅうじん)⇒非常に高いという意味。
一簣(いっき)⇒最後の努力。ラスト寸前のひと踏ん張り。
虧く(かく)⇒そこなう。おろそかにする。
『非常に高い山を築こうとしても、最後に使う土(一杯の簣)をおろそかにしては完成しない』という意味合いから、画竜点睛を欠くの類語と言われています。
その他の類語・単語
・詰めが甘い
・未完成
・仏作って眼(まなこ)を入れず
・仏作っても開眼せねば木の切れも同然
本文:『forgot to dot the i’s but cross the t’s』
訳:『i』の上にある点を書くのを忘れ、『t』に使われている横棒を書き忘れる
これは細かいところにまで気を使い、詳細部分までキチンと仕上げるという意味合いを持ちます。
日本語でいう『濁点』や『半濁点』を忘れるなよという事でしょうか?(筆者の予想)
ラブレターに『好きです!』を緊張しすぎて『好きてす!』って書くなよという事でしょう(筆者の解読なので気にしないで下さい)
画竜点睛を欠くの対義語
参考までに画竜点睛を欠くの対義語~反対の意味を持つ故事成語などもご紹介します。
有終の美を飾る
積み上げてきた物事の最後を、しっかりと立派にやり遂げて終わる事を表現した故事成語。
<例文>
料理が苦手だという彼女の言う通り、砂糖と塩を間違えており塩辛いロールケーキ。
一口目から異常に気づいていたが、まずいと言えず笑顔で食べ続けた僕は…
微笑み貫き、有終の美を飾った(味見しろよ…)
蛇足
(蛇の絵を描く競争で足を書きそえて負けたという故事から)
あっても益のない余計な物事。あっても無駄になるもの。
引用元: 広辞苑 第四版
昔むかし、蛇の絵を描くという競争がありブッチギリの1位だった男が、余裕過ぎて蛇に無い足を描き加えて負けたという故事から『蛇足』という言葉が生まれました。
それと同じく竜を描いた画家が、画竜点睛を満たしまくって瞳を描きまくった場合は、この『蛇足』に該当し皇帝や周りの人々をドン引きさせ竜も飛びついてきた事でしょう。
最後に
今回は『画竜点睛を欠く』という故事成語の例文や由来・歴史などをご紹介しました。
『もうすぐ終わり』という状況でも、最後までしっかりと物事をやり遂げる教訓を学べる言葉でしょう。